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ブログ

2016年02月25日

現役奨学生の皆さんへ~研究生活と就職への想いを振り返って~

小杉 貴洸 マスター21/2010年度採用 奨学期間: 2010年4月~2012年3月
奨学期間中の在籍大学: 慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程
現所属: ソニー株式会社

(こすぎ たかひろ)神奈川県横浜市出身
2010年3月 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科卒業
2010年4月 慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程入学
2012年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了
2012年4月 ソニー株式会社入社。
       現在、カメラに搭載されるソフトウェアの開発を行っている。

一生の人生の中では、大学院での研究生活はほんのわずかな期間かもしれません。しかしそのわずかな期間の経験が、将来の自分の考え方や行動への礎となる非常に大切な期間でもあります。色々な方々と出会い刺激を受け、幅広い興味を持ち、そして悔いの残らぬよう研究生活を精一杯楽しんでください。


国際学会での発表@ボスニア・ヘルツェゴビナ

[研究生活と吉田育英会]
 ブログへの寄稿にあたり、当時の応募資料を読み返してみましたが、研究室配属直後ということもあり研究内容としてはかなり荒削りなものでした。しかし、自分の研究によって実現される夢を熱心に語ったことが、評価をいただけたのではないかと思っています。私は、吉田育英会から研究に専念できる環境をご提供いただけたおかげで、在学中は充実した研究生活を送ることができました。みなさんは今のテーマに熱意を持って取り組んでいますか?吉田育英会は研究に対する真摯な想いを持ったみなさんを励まし、充実した研究生活を送れるようサポートしてくださいますので、自分のテーマに自信を持ってとことん追究してください。
 私の場合、多数の国内・国際学会で発表をさせていただく機会に恵まれました。発表の場に立つという経験はもちろん、研究内容が論理的に説明されているかといった客観的な視点を持つ機会となりました。また、聴講した方々からは今後に繋がる貴重なご意見をいただけますので、みなさんも積極的に参加して自分の成果を世界に発信し、さらに研究を深めていっていただければと思います。
 研究は誰もやっていない新しいことに挑戦しなければなりません。それが発見できたときの喜びもあれば、良い考えやアイデアが浮かばない苦労もあるかと思います。そのような苦境に直面した時にも、是非、吉田育英会のイベントに参加してみてください。同世代で分野を越えて全国で活躍している奨学生に出会えるのは吉田育英会ならでは魅力です。私も以前、同期の奨学生が在籍していた大学に学会発表のため訪れる機会があり、連絡をとってお互いの近況について話すなど、様々な場所に仲間がいるということを嬉しく思ったことを今でも覚えています。授与式や懇親会、研修旅行など奨学生が集まる機会を多く提供してくださいますので、交流の場を通じて同世代で活躍している奨学生からの刺激を受けて、自分の研究へのモチベーションに繋げていただければと思います。

[就職への分岐点]
 私が就職を選んだ理由は、在学中に展示会に出展したロボットを製作した経験からでした。モータの制御に関する研究を行っており、新規性を示すためのロボットを製作しました。そのときに体感した、チームが一体となって同じ目標に向かい、困難を乗り越え作り上げたときの達成感と、展示したロボットを通じて見学に来てくださった方々との会話の中で生まれる、もっとこうしたらどうか、こういったことにも使えるのではないかというように次々と発展していく議論は、エンジニアの本質的な魅力だと強く感じました。自分が作り出した「モノ」を通じて新たな可能性を示していくことを仕事にしたいと思い、就職することを選びました。就職してからは、カメラのソフトウェア開発に携わっており、幸いなことに機能を開発する機会もありました。実際に使用する場面を想定した作り込みなど機能の導入には大変な苦労がありましたが、市場からの反響もあり、こうしてお客様の声をいただけることに大きなやりがいを感じており、就職を決めたときの想いを体感することができております。
 開発に携わる中で最も重要であると感じたことは、お客様の期待に応えることができているかという点です。当たり前のことなのですが、期待の本質を見極め、どのようにアプローチしていくかを考えるところに一番の奥深さを感じております。そのためには、自分自身がひとりのユーザーとして製品を使い、お客様の気持ちを徹底的に理解することが必要だと思っています。このときに感じた純粋な意見や印象には製品をよりよくするヒントがあるはずです。そこからニーズの本質を探り製品として表現できるよう、「頭で考えるだけでなく、実際に使用してみる」ということは開発する上で心がけていることです。お客様の目線に立ったときの一工夫によって、完成度に差がでます。これからもその観点を忘れることなく、「ここまで考えて作られていたのか!」と思っていただけるような製品や機能を開発できるように、精進していきたいと思っています。

[メッセージ]
 この度は初めてのブログへの投稿であり、参考になる文章が書けるかと不安もあったのですが、これまでの研究生活を振り返れば吉田育英会のサポートは大きな存在であり、少しでも今後のみなさんのお力になれればと思い、快諾致しました。上述した私の体験を通して、みなさん一人ひとりにとって、何かプラスに感じて頂けることがあれば幸いです。一生の人生の中では、大学院での研究生活はほんのわずかな期間かもしれません。しかしそのわずかな期間の経験が、将来の自分の考え方や行動への礎となる非常に大切な期間でもあります。色々な方々と出会い刺激を受け、幅広い興味を持ち、そして悔いの残らぬよう研究生活を精一杯楽しんでください。

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