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世界を照らす光、そして希望に

 1967年に設立された当会は2017年に50年の節目を迎え、その後も奨学生、会友、その他関係する多くの方々と一緒に、毎年歴史を積み重ねてきました。50周年の翌年からは「それぞれの夢を それぞれの未来へ」を大切なキーフレーズとして、事業のさらなる広がりと深まりを目指しています。

 ここで言う「それぞれの夢」とは、奨学生の皆さんの夢ばかりではありません。なぜなら、当会を設立したYKKの創業者 吉田忠雄も、自身の手記において「夢は起きているときに見たいもの」と、世界に飛躍する若者たちをサポートする奨学財団をつくることに言及しているからです。つまり、夢を追う皆さんを真摯に支えることこそが、創業者の大切な夢でもあったということなのです。

 吉田忠雄は、「新たな価値の創造により社会に『善』を尽くし続ければ、やがて『善』は限りなく世界を巡ってゆく」という、いわば壮大な円環、サークルのイメージから、「善の巡環」という独自の実践哲学を生み出しました。私が何よりも嬉しいのは、当会の事業が、YKKの企業精神である「善の巡環」を極めて純粋な形で体現した取り組みであるからです。そして、私は「善きことには、波紋のように広がっていく力がある」と強く信じています。

 奨学生の皆さんには、多くの出会いを通して、新しい知の扉を開いていただきたいと思います。混迷の中にある現在のような時代には学問の力が必要です。学問の探究を通じて得られる、事象を深く理解するための知見こそが、世界を照らす光であり、希望になり得るからです。

 関係者各位におかれましては、当会に一層のご理解ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

理事長写真

公益財団法人吉田育英会 理事長

吉田忠裕